たかのサイコロ日記

地理情報を勉強しているベルリンの大学院生が、考えていること。

ユーラシア横断の旅で毎日聴き続けたプレイリストを公開します。

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僕は音楽にあまりこだわりがないですが、気に入った曲があると繰り返しそればかり聞きます。

2016年にスウェーデンから日本まで飛行機を使わずに帰るという旅をしたとき、一緒に旅をしていた友達のけけがプレイリストを作ってくれたので、ずっとそれを聴きながら旅をしていました。2ヵ月半の旅の間その数曲だけを毎日聴き続けたので、今でもその曲を聴くと訪れた街や通ってきた道のりの情景が蘇ってきます。

本当はこのプレイリストは自分とけけの間でとっておいて公開しないつもりでしたが、旅から4年たち、もう十分心の中に染み込んだなと感じたので公開することにしました。

これから旅に出ようとしている人や旅の気持ちを味わってみたいという人の役にたてばと思います。

 

 1/6の夢旅人2002

旅といえば水曜どうでしょう。定番ですが、この曲を聴くと多少の不安があってもとにかくやってみようという気持ちにさせられます。

水曜どうでしょうはおもしろくて僕も大好きですが、観客として見ているだけではなく大泉洋になったつもりで自分自身で旅をするともっとおもしろいです。

想定外のことが起きたときに大泉洋のように"おいおいおい〜"と思わず言っている自分に気づき、たいがいのトラブルも笑ってしまえます。

 

タイプ:ワイルド

初期のポケモンのエンディングソング。タイプ:ワイルドってなんのことだよって子供の頃から思っていましたが、2ヵ月半毎日聴いてもわかりませんでした。

家を離れて次の街のジムでバッジをゲットしようとするサトシに、次の国の大使館でビザを手に入れようとする自分に重ねたりしてました。大使館ってだいたい門があって、大使もクセのあるおっちゃんが多かったのでなんとなくマッチしてたように思います。

0:31からの、 "あの頃すっごく流行っていたから買いに走った このスニーカーも

 今では世界中 探しても見つからない 最高の ボロボロぐつさ"

という歌詞の通り、旅のあいだ履いていたスニーカーとサンダルは本当にボロボロになったので宝物として家に置いてあります。 

 

The Nights

僕がスウェーデンに留学していた2015年はAviciiの絶頂期で、ストックホルム出身のAviciiの音楽は街のいたる所で流れていました。普段EDMを聴かない僕も、Aviciiの音楽にはメッセージ性を感じたのでよく聴いていました。

なかでも The Nights はユーラシア横断の旅のテーマソングとしてプレイリストの中でも特別な位置づけです。

"These are the nights that never die." という歌詞があるんですが、僕にも一生忘れない夜(The Nights)ができました。

あとPVがめちゃかっこいいのでぜひ見てほしいです。 

 

The Days

同じくAviciiのアルバムからもう一曲。メッセージ性はThe Nightsと似ているんですが、曲調はもっと軽いので街をぶらぶら歩きながら口ずさんだりしていました。Aviciiの曲ってポップなのに、どこか寂しげなんですよね。

雨がちだったバルト三国で、長距離バスの窓から暗い街並みを見ながらこの曲を聴いていました。

 

I'm not the only one

スローテンポな "You say I'm crazy, cuz you don't think I know what you've done." という歌詞を延々と聴いていると、どれだけ移動しても自分がどこにも行けないような感覚になってきます。

ウクライナオデッサ黒海を渡る船が出るのを待っていたんですが、その船がコンテナ船なので荷物の届く量次第で今日出るか、明日出るかわからない。朝に港に来ればわかるといわれ、毎朝通うものの今日も出ないその次の日もだめ。いったいいつになったらこの街から抜け出せるんだという不条理と、それをどこか楽しんでいる自分を感じながら、トラムとともに砂埃が舞い上がる街をそぞろ歩いていました。

 

Stay With Me 

ワンナイトの関係のはずだったのにいつの間にか、彼女に離れてほしくないと思っている男の気持ちを歌った曲。

理性的に考えたらそんなのうまくいくはずないし、ナイーブすぎると思うんですが、合理的じゃない旅をしながら、"愛とは?" みたいなナイーブでセンチメンタルなことを毎日語りあっていた当時の僕にはすごく刺さりました。

毎日なにをするというわけでもなく知らない街を歩き回り、日が暮れたら500mLの地元の缶ビールを飲みながら、あてもなくゴールもない、生産性のことなんかこれっぽっちも気にしない議論を繰り返していました。

 

イージュー★ライダー

これも旅といえば定番の曲。 シルクロードを乗り合いタクシーでおっちゃんとともに渡っていたときは、ずっとこの曲が頭に流れていました。

"何もないな 誰もいないな 快適なスピードで 道はただ延々続く"

という歌詞の通り、ウズベキスタンシルクロードは本当に見渡す限り何もないんです。ただまっすぐな道が終わりも見えないほど続いている。対向車もほとんど来ないから、おっちゃんも100キロ以上だしてがんがんとばします。朝からまるまる12時間以上運転して、その日の目的地のサマルカンドに着いたときにはすっかり夜になっていました。おっちゃんは昼ご飯と15分の仮眠以外一切車を止めることなく、一日中車を飛ばし続けました。サマルカンドの街の明かりが見え始めた頃にはおっちゃんの疲労が明らかで、車がめちゃくちゃ左右にぶれていて祈るような気持ちで後部座席でこの曲を聴いていました。

 

あの紙ヒコーキくもり空わって

独特のイントロから始まる、絶妙にせつない曲です。

この曲を聴くと一緒に旅をしたけけのことを思い出します。毎日毎日飽きもせずに二人で話し続けました。ビザの関係で数日だけ別行動した日を除けば、二ヶ月半の間、文字通り24時間ずっと一緒に過ごしました。一人の人間とこんなに長い間一緒に居続けることは、今後の人生でもうないと思います。たとえ結婚して奥さんと一緒に暮らしたとしても、仕事や買い物で一人で出かけるタイミングは必ずあるはずです。こんなに長い間顔を合わせていたら疲れたり喧嘩になったりしないかと思うかもしれないですが、けけの懐が深いのと僕がけけを好きすぎるおかげで全然問題になりませんでした。

 

ユーラシア横断プレイリスト

Spotifyでプレイリストを作りました。オリジナルの音源がない曲はカバーされてるバージョンをいれてあります。

このプレイリスト、全部でちょうど30分しかないので一日中繰り返し聴いていると気が狂いそうになります。そこを乗り越えて聴きつづけると、聴いているときの想い出とこの音楽が密接につながって記憶されます。

このプレイリストを聴いて、どこか知らない街へ行ってみたくなった人がいればうれしいです。