たかのサイコロ日記

地理情報を勉強しているベルリンの大学院生が、考えていること。

何者かになるのに疲れてしまったあなたへ。『車輪の下で』から受け取ったメッセージ。

 

二十歳を過ぎた頃から、自分は何者かにならなければいけないという感覚を抱えていました。せっかくここまで真面目に勉強していい大学に入ったのだから、社会に有用な人物とならなければいけないという使命感、もしくは責任感のようなものがのしかかっていました。それまで学校の勉強と一般的な娯楽しか知らなかった自分には、どんな人物になったらいいのか見当がつかず、色々なことを試してみました。学生団体の運営をしてみたり、海外を放浪したり、起業をしたり。どれも楽しかったし自分のためになったと思うんですが、しばらくすると「本当にしたいのはこれじゃない」という感覚が生まれてきました。

今はドイツで大学院生をして地理情報の研究をしていますが、僕は何者にもなっていません。何者でもない自分を認めるのは悔しくて、恥ずかしくて、もう何者かになった人やなろうとしている人を羨ましく思ったりもしました。

この本は何者かになることを目指す意味や何者でもない自分を見つめ直すきっかけをくれました。

 

車輪の下で (光文社古典新訳文庫)

車輪の下で (光文社古典新訳文庫)

  • 作者:ヘッセ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/12/06
  • メディア: 文庫
 

あらすじ

車輪の下で』の主人公ハンスも僕と同じような悩みを抱えています。彼の場合は一昔前のドイツの神学校という設定ですが、勉強に追われ、何者かにならなければならないという使命感を抱えています。

彼も社会の役に立つ何者かになることを周りに期待され、自分自身でもクラスメイトより勉強ができることに優越感を抱いて生きてきました。そんなハンスに人生で初めて親友と呼べる友人ができました。彼はそのことをうれしく思うと同時に、自分の勉強をする時間が取れなくなってしまったことを気にしていました。そんななか、その親友が学校を抜け出し退学になってしまいました。ハンスは親友に対してなにもすることができず、心を病んでいきます。

ハンスはもう優秀ではなくなり、何者かになることも諦めてしまいます。そして自分の出身の田舎町に帰りゆっくりと時間を過ごすと、今まで近くにあっても目に止まらなかった自然のすばらしさや、自分が馬鹿にしていた労働の尊さに気が付きました。

本から考えたこと

この本から僕が受け取ったメッセージは、何者かにならなければならないというのは、自分で自分自身にかけた呪いに過ぎないということです。たとえあなたが社会に有用な何者かにならなかったとしても、それであなたの人生は終わらないし、必ずしも何者かになる必要もありません。何者でなくても、あなたはあなただし、何者でもない"ただのあなた"でも変わらずに接してくれる人こそあなたが大切にするべき人たちです。あなたが何者かでなければ失望して関わりを失ってしまう人たちは、あなたの”何者かである”という属性に関心があるだけで、あなた自身という人間に興味があるわけではありません。

僕自身、何者かにならなければならないという焦りから、友達とくだらないことをして過ごす時間や、恋人とゆっくりする時間は非効率的だという考えを持ったことがありました。そういった馴れ合いは一種の娯楽でしかなく、"何者かになる"というゴールのための一時的な休憩なのだと考えていました。

しかし、目の前にいる自分の友人を大切にできないで、社会に有用な人になることに価値があるのだろうかと最近は考えています。もちろん社会をよくするために努力するのはすばらしいことだし、そのような努力をしている人をリスペクトしています。自分自身も努力を続けていこうとは思っています。僕が伝えたいのは、何者かになるという人生の一つの達成は、たくさんある人生の達成の種類のうちの一つであって、また、それはあなたの権利であって義務ではないのです。決してそれによってあなたという人間が規定されてしまうわけではないのです。

これはしばらくの間自分の中で葛藤していたことに対する現状の自分なりの考えです。同じような悩みを持った人の、考えるきっかけになればと思います。

 

"グーグルマップの社会学"を読んだ。地図とは自分が持っている社会へのイメージらしい。

グーグルマップの社会学 ググられる地図の正体 (光文社新書)

グーグルマップの社会学 ググられる地図の正体 (光文社新書)

 

グーグルマップの創業ストーリーを読んで、グーグルマップが社会にどういう影響を与えているかに興味が出たので、しばらく前にタイトルに釣られてポチっていたグーグルマップの社会学を読むことにしました。グーグルマップの創業ストーリーについての記事はこちら。

takataka-blog.hatenablog.com

面白かったポイント

もともと社会を可視化するためのツールだった地図は、みんなが同じ紙地図を使っているうちは、同じ社会のイメージを共有することができました。しかし地図がデジタル化されることによって、多くの人は自分の周りのごく狭い半径と目的地しか見ないようになり、社会や都市の全体像を地図から学ぶことは少なくなりました。さらに、インターネットと同様にパーソナライズされた地図は、ユーザーが見たいものだけを見せるようになり(カフェをよく検索する人にはマップ上にカフェがたくさん表示されるなど)、同じ社会で生活していたとしても、その社会についての認識やイメージを一人ひとりが共有することが難しくなっています。その結果として、社会についてのイメージが共通のものから個人のバイアスによって偏ったものになっていき、社会にはあたかも自分の知っているもの(検索したことのあるもの)ばかりのような錯覚に陥ってしまうと著者は述べています。

このバイアスを調節するために、旅に出ることが重要らしいです。旅をして日常生活では出会わないもの= 今まで検索したことのないワード に出会い、自分の知っているものだけで構成されているネットの世界にノイズを入れる。そうすることによって、自分のネット世界や地図が広がって、新しい社会の捉え方ができるようになるとのことです。

感想

ネット世界がパーソナライズされて、見たいものだけ見せてくるというのは実感として感じていたけれど、それが地図にまで及んでいるのは著者に指摘されるまで気づきませんでした。自分の地図を拡張するために、知らない街に行ったり、自分と違う感性を持った人に会ったり、意識的にノイズを取り込みにいかなくちゃいけないと感じました。

ブロックチェーンの勉強を始めました。一歩目は、『ブロックチェーン入門』。

 

ブロックチェーン入門 (ベスト新書)

ブロックチェーン入門 (ベスト新書)

 

 

この本を読んだ目的

ブロックチェーンの技術を地理情報に使えないかなーと思って、技術的な面を勉強することにしました。勉強方法はgunosyがブログでまとめてくれていたので、これに沿って勉強していくことにします。

blockchain.gunosy.io

この本はその一歩目です。

ブロックチェーンは中央集権的なデータ管理を分散化させることができるのがメリットなんですが、地理情報関連の地図データとかGPSデータって、政府が管理してたり、数社の寡占状態だったりですごく中央集権的なので、ブロックチェーンで分散化できたらインパクトがあるんじゃないかとぼんやり思ってます。

面白かった内容と感想

  • ブロックチェーンのポイントとなる3つの技術(データ構造、コンセンサスアルゴリズム公開鍵暗号方式)について、わかりやすく解説してくれる
  • その他のブロックチェーン関連でよく聞く用語(スマートコントラクト、ハードフォーク、オルトコインなど)についても、ざっくりどんなものかわかる
  • ネット記事は仮想通貨のことについて書いてあることが多いけど、この本はブロックチェーンそのものの技術的な価値について説明してくれる
  • 仮想通貨は供給量があらかじめ決められているので、需要によってのみ価値が決まる
  • 世界中のマイナーのマシンパワーの51%以上が独占されると、ブロックがそのマイナーに独占される(51%アタック)

→仮想通貨だとその通貨の信用がなくなるから51%アタックをするメリットがない。でも、マイナーが地図データを変更できるシステムだったら、悪意を持って変更しようとする人がいるかも?

まとめ

ブロックチェーンの技術に興味があって、まずが全体像をざっくり知りたいという人の一冊目におすすめ。

次は、ブロックチェーンのことの始まりとなった、ビットコインのWhite Paper(仕組みを発明した論文)を読みます。

Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System

『数学ガール 乱択アルゴリズム』は、無機質な数学の教科書が苦手だった人におすすめ。

 

数学ガール/乱択アルゴリズム (数学ガールシリーズ 4)

数学ガール/乱択アルゴリズム (数学ガールシリーズ 4)

 

この本を読んだ目的

アルゴリズムの勉強を基礎からやり直したくて数学ガール乱択アルゴリズムを読みました。

アルゴリズムは大学の学部生時代にちょっと授業でやったことがあったけど、そのアルゴリズムを使うとなにがうれしいのかまでよくわかってませんでした。まずは概観をつかめる読み物をと思って調べたら、数学ガールは理系じゃない人にも優しいらしい。

タイトルから、お姉さんが優しく教えてあげる♡みたいなのを想像してたけど、そんなことはなく、高校生の主人公が放課後に女の子たちに囲まれながら数学の問題を解くという話でした。

面白かった内容と感想

  • いきなり各種サーチやソートの解説に入らず、物語の中で「こんなことをコンピュータさんにやってもらうにはどうしたらいいんだろう?」という問いから思考錯誤を繰り返して徐々に正しい解に近づいていくので、考え方の道筋を学ぶことができる
  • 数式の変換の際の省略が少ないので、数学の教科書でありがちな「なんで急にその形になった?!」ってなりにくい
  • アルゴリズムの各ステップの実行回数から計算量を考えることができるので、「バブルソートは単純だけど遅くて、クイックソートは安定して速い」とかしか知らなかったのが、数式として理解できるようになる
  • 10章の乱択クイックソートは数式が難しくて結果しかわからなかった

まとめ

これからアルゴリズムを勉強する取っ掛かりを探している人、学部の授業の説明では物足りなかった人、教科書の無機質さが苦手な人におすすめです。

Nianticの創業ストーリー。『Never Lost Again グーグルマップ誕生』の感想。

 

NEVER LOST AGAIN グーグルマップ誕生 (世界を変えた地図)

NEVER LOST AGAIN グーグルマップ誕生 (世界を変えた地図)

 

なぜこの本を読んだのか

「Never Lost Again グーグルマップ誕生」を読みました。Pokémon GOを作ったNianticがグーグルマップを作ったベンチャーに起源があることは知っていたけれど、どういう経緯でグーグルマップを作ろうと思って、次にゲーム業界に行こうと思ったのか知りたくて読みました。

学んだこと

  • Google は自社で地図データを作ったところがすごい。自社データだから変更にすぐに対応できる。Appleなど他社のマップはプロバイダーから地図データを買ってるから、変更に時間がかかる。
  • ストリートビュー用の画像から、コンピュータビジョンで道路の中央線などの情報を抽出して、交通網のデータを作ってる。
  • グーグルマップじゃなくて、グーグルアースが先にできた。
  • グーグルマップは一度グーグルローカルという名前になって、グーグルマップに戻った。
  • 最初はグーグルアースから始まったので商圏分析など法人が主な顧客だったが、徐々に一般市民にも使われるようになった。
  • グーグルアースは便利だったけれど、ベンチャー時代はマネタイズにずっと苦労していた。
  • 価値があることをやっているのをGoogleに認められて、買収されることで生き残った

感想

  • 稼げるかどうかより、面白いかどうかを基準に仕事をした方が楽しい。
  • でも、それで稼げるようになるには相当の努力と運が必要。
  • 地図データの作成は、コンピュータで空中写真と既存の紙の地図を比べて、人力でコンピュータに空中写真を基にした正しいデータを入力していた。

 → バイトで地図データの入力をやったことがあったけど、ほぼ同じ作業だったので、Google もこういう泥臭い作業してるんだなあと思った。(もちろん外注してるんだろうけど)

まとめ

空間情報のビジネスに興味がある人、大企業に買収されたベンチャーの体験談を知りたい人、Pokémon GOの開発者がどういうルーツなのか知りたい人にオススメです。

 

Kindleに搭載してほしい機能3選

2、3年前からKindleで本をよく読むようになってとても便利なんだけど、もっと便利になるのにと思う機能がいくつかあるので紹介します。

ちなみにKindleは専用の端末ではなく、iPhone SEのアプリを使って読んでいます。

ページをざーっとめくって適当なところで止める機能

僕は本を読むときには、意識的にさあこれからこの章を読むぞっ!と思って読むときと、なんとなくたまたま目に入った辺りを読むときがあります。今のKindleはこの章のこのページが読みたいとわかっていればそこに飛ぶことができるんだけど、なんとなくパラパラと流し読みして、面白そうなところで止まるという機能がないんですよね。特に小説を二度目以降読む時には、始めからではなく気に入った辺りをもう一度読みたいから、ざーっとページを移動できたら便利。

背表紙で本の厚さ(ボリューム感)がわかる機能

Kindleだと、買ったときに想定していたよりも本のボリュームが多いことがよくあります。そうなると読んでいる途中で、「この本、思ってたより長い、、」ってなって挫折してしまいます。紙の本なら背表紙の厚さと本のサイズで読む前にだいたいのボリュームがわかるんだけど、電子書籍だと読み終わるまでわかりません。ページ数は確認できるんだけど、たとえば、「この本は250ページです。」って言われてもそれがどれくらいの量なのか直感的にわかりづらい。読み始める前に背表紙の厚さを確認できれば、読むのにどれくらいの時間がかかりそうかぱっと見で判断できて、途中で挫折することも減りそう。 

買った本を友達に貸す機能

気に入った本を友達に貸したいんだけど、kindle が入ったスマホごと渡すわけにはいかないし、、。そんな時に一定期間だけ友達のkindleに本のデータを貸し出す機能があったら便利。本を貸し借りするには個人情報とがっつり紐付いたユーザー登録をする必要があるようにして、知らない他人に配ったり、借りた本を持ち続けることをできなくする。信用を価値として評価する社会が本格化すれば、借りパクとかコピーのリスクは下げられるはず。

 まとめ

日常的にkindleを使っていて、ほしいなーと思った機能を紹介してみました。数年後には、どれも実装されてそうな感じがします。

QGIS3.x系をインストールしてみたら、背景地図の設定がめっちゃ簡単になってた。

QGISのバージョンがしばらく古いバージョン(2.18.2)のままだったので、2019年2月時点で最新版の3.4.4にバージョンアップすることにしました。

インストール手順はこの記事を参考にしました。

day-journal.com

 

 Read Me.rtfを見てみると、なにやら先にPython 3.6をインストールする必要があるらしい。3.7だとだめらしいので注意。

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念の為、ターミナルじゃなくてホームページから、Python 3.6.8をインストール。

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その後にQGISインストーラを開いたら、無事QGIS3.4.4もインストールできました。

メニューのデザインはそんなに大きくは変わっていない印象。ちなみにQGISはバージョンごとに愛称として地名がつけられてるんですが、3.4.4はMadeira。聞いたことがないのでググって見ると、ポルトガル領の大西洋の離島らしい。クリスティアーノ・ロナウドの出身地ということで有名っぽい。

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QGIS3.x系の特徴を調べてみたら、背景地図の設定が簡単になったらしい。さっそく、やってみよう。

細かい手順は以下の記事を参考にしてください。

qiita.com

 

左側にあるブラウザメニューのXYZ Tileに、追加したいweb地図のURLを入力するだけで、背景地図が設定できる。とりあえず、よく使いそうなGoogle Mapsとか地理院地図を入れてみた。

 

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あとは使いたい背景地図の名前上でダブルクリックすれば、その背景地図が適用されます。自分で持ってた、ベルリン工科大学の建物のshapefileと重ねてみると、ほぼぴったり。

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XYZ Tileにある背景地図は一度追加しておけば、次回からQGISを開いた時には自動的にXYZ Tileの中にあるので、さくっと背景地図を設定できます。
2.x系の時は自分でプラグインをインストールして、パスを通したりしないといけなかったので、かなり手順が簡単になりました。GISは文系の社会学や人文地理系の人も使う機会が多いし、文学部の人たちがパソコンは苦手だといいながら四苦八苦しているのを見てきたので、基本的な作業の手順が簡単になるのはGISユーザーの裾野を広げる意味で良いことですねー。